バケバケ
「こんなもの、無駄なのです。」
壁の向こう側から声がして途端に壁の真ん中にヒビが入った。
「……ダメだ…シイ、限界だ。」
壁に穴が空く。
壊れた壁の破片が顔をかすめる。
これでいい。
チャンスは…あいつらが壁から出てきたとき。
壁の穴の向こうに二人の影がある。
見えた!
体中に刻まれた黒い炎のようなアザが体から浮かび上がり、俺の右半分を包んだ。
半分以上黒い炎を使うのは始めてだ。
思った以上に制御しづらい。
力に呑み込まれそうだ。
俺は壁に空いた穴から出てきた双子めがけて腕にまとった炎を放った。
双子は自分達の力を俺の炎にぶつけてきた。
爆発音が鳴り響く。
砂煙が俺たちを包んでいく。
「やった…のか?」
「……まだだ、シイ!」
燕の声が響く。
「!?」
砂煙に切れ目が入り、そこから双子が出てきた。
「そんな…」