バケバケ
「洋子!」
倒れた洋子の体を起こす。
「おい、しっかりしろ!」
洋子の体を揺するが目を覚まさない。
「シイ!」
灰音とエレジーが駆け寄る。
「灰音、エレジー…洋子が!」
灰音たちの後ろに、燕に体を支えられながら千秋もそばに来た。
洋子の口元に手を当てる。
…息、してない。
「どうしよう…洋子が…俺、…」
「落ち着けシイ!今救急車呼ぶから…」
灰音が携帯を取り出す。
救急車…
これ、バケバケにやられたんだぞ?
そんなもので洋子が助かるのか…?
灰音が電話をかけ始めた。
あてにならないとわかっても人間の病院に頼るしかない。
俺は何も出来ないんだ。
俺は何のために契約したんだろう。
洋子の手を握り締める。
「ごめん、洋子。」
「ナメるなよ。」
「?」
突然頭上から声が降ってきた。
見上げると、そこに真っ黒な髪の色白の着物姿の少女がいた。