バケバケ
「当たり前だ。この女、明仁の孫だろう。そんな莫大な力を持ったやつがこんな小物のバケバケの力に当てられたくらいで死ぬわけがない。」
ステ神が洋子の額から手を離す。
「もう大丈夫だ。寝かせておけば直に目をさます。」
「そう…か。」
全身の力が抜けた。
…よかった。
「さて、ボクはもう仕事しなければならないな。」
ステ神は立ち上がると、千秋に肩を貸している燕を見た。
「お前も久しいな、燕。」
「……お久しぶりです、ステ神様。」
「本当に長生きだな、お前は。その肩に担いでるのは今の主人か?」
「……はい。」
ステ神は千秋の方に寄るとまじまじと顔を見つめた。
「ふん、先代に似て生意気な顔だな。…ケガはしているようだがコイツは放っておいても大丈夫であろう。」
「おい、シイ。」
灰音がステ神を指差す。
「誰だこの小さい女は。」
「あぁ…ステ神は……」
説明しようと思った瞬間に、俺より先にステ神が口を出した。