芽衣の恋愛論



「着替えるから待ってて、ご飯食べるの付き合えよ。」




零次君が着替えてる間に、由美ちゃんが戻って来た。

「零次は?」

「今着替えてる、ご飯食べに行こうって。」



あたしが伝えると由美ちゃんはニヤニヤしている。


「じゃあ私は先に帰るよ。」

「ええ!何で!?一緒に行こう。」



「何言ってるの。零次といると居心地いいんでしょ。私がいたら邪魔しちゃうから。バイバイ。」



と言って由美ちゃんは夜の町に消えた。


ご飯ってみんなでじゃないのかな…。

2人きりでってことだと思わなかった。



「行こうか。」


零次君は現れるなりそう言って歩き出した。




「あの、みんなは?」



零次君は歩くのが早い。
小走りして追い付いて言うと零次君が立ち止まった。


「芽衣しか誘ってないよ。ダメ?」


零次君が言うと私は妙にどぎまぎしてきた。

「ダメ…じゃない。」



「じゃあ行こう。」




また颯爽と歩き出した。


3メートル先の零次君が角を曲がった。

見えなくなると知らない道で心細くて走って追いかけた。


曲がったところで人にぶつかった。

「スミマセン。」


咄嗟に謝った。
見上げると零次君が笑ってた。


「ごめん、歩くの早いんだよね。言えばいいのに。」



零次君は申し訳なさそう。

お店は曲がったとこにあった。






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