芽衣の恋愛論
零次
「なあ、この間の子零次の彼女?」
仕事に来て早々にこんなこと聞かれた。
聞いてきたのは職場の同僚でありダンスグループの一員のタツヒロ。
「違うよ。そういうんじゃないから。」
「だったら俺に紹介して。タイプなんだよ。」
「だから、そういうんじゃないんだって!」
俺は頑なに断った。
こんなやつに芽衣を汚されてたまるか。
「なんだそれ…。」
納得いかないけど俺の気迫に押された形で終わった。
「おはよう。」
と言いながら美麗が入って来た。こいつも同僚、
「ねえ、ライブのあとどこに消えたの?私の知らない間に彼女出来たのね?」
おんなじようなこと言われてイラッとする。
「違う、そんなんじゃないから。」
同じように答える。
「そういうんじゃないらしいよ。」
隣のタツヒロが言った。
美麗も腑に落ちない様子で部屋から出て行った。
「美麗ショックだったんじゃない?」
タツヒロが言う。
「知らない。」
俺は無表情で答える。
鏡の前で柔軟をしている。