芽衣の恋愛論
憂鬱
久しぶりに由宇君のお店に出向いた。
今日はサトル君がいるって由宇君に聞いたから。
お店がいつになく混んでいた。
サトル君は接客に追われている。
私は遠くからその様子を見ていた。
イケメンのサトル君は女の子からアドレスらしきものが書かれたメモを手渡されていた。
前にも見たことがあって、その時はわからなかったけど、後から由宇君に教えてもらったから今回はすぐにわかった。
サトル君は私に気付いた。ニコッて笑ってくれた。そして近寄ってきた。
「事務所にいたら?」
「今日何時まで?」
「遅いよ。11時くらいになるかな。」
「なぁんだ、じゃあまたにする。じゃあね。」
そう言うと私は店を後にした。
サトル君は『あ』とか『え』とか言葉にならない声を発していたけど、お客さんに捕まった。
なんだかサトル君とゆっくり話がしたかった。
サトル君に心が向いていた。
まだ付き合う自信が無かった。
自信をつけたくてサトル君と楽しい時間を共有したかったのだ。
ずっと自分のことを想っていてくれたと言うサトル君。
2人で映画を観た時も?
ぶっきらぼうなのは緊張しているから?
冷たかったり優しかったり
振り回されるのに疲れていたけど
告白を受けてそのわだかまりは消えていた。