芽衣の恋愛論


サトル君は低い冷たい声で聞いてきた。
昨日の電話のときと同じ声。
外に出てきてドアを閉めた。

「どしたのその顔。」


「あの、あのね私。ちゃんと話し」

またしても遮られた。

「由宇にはあとで連絡するから。」

そう言って部屋に入ってしまった。


どうして話を聞いてくれないんだろう。

私を好きだと言ってくれたのは何だったんだろう。

嘘だったのか?



そうか。
新しい彼女が出来たからもう迷惑なんだ。

サトル君モテるしかっこいいから私なんか全然釣り合わないや。


家まで歩いて30分くらいの道のり、また泣きながら帰った。


ドアを開けると由美ちゃんが心配そうな面持ちで迎えてくれた。

泣いてる私を見て頭を撫でて「よく頑張った。よく頑張った。」
と言ってくれた。


でも私は何もしていない。


「サトル君私の話聞いてくれないの。彼女がいた。」
由美ちゃんの表情が固まった。

「携帯貸して?」

由美ちゃんは静かに言った。
怒りを抑えているようで逆に怖さが増した。

由美ちゃんは私の携帯を開くと、どこかに電話しているみたいだった。


「ちょっとあんた!!話聞くぐらい出来るでしょ!今すぐ芽衣の家まで来なさい!!逃げんな!!絶対来い!!」

外まで聞こえるくらい大きな声で怒鳴ってた。




由美ちゃんてどこまでも頼りになるな…。

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