芽衣の恋愛論
サトルの話はおいといて。



「ぼーっとしてどしたの、考え事？」



サトルが目の前で手を振っていた。


俺は現実世界に引き戻された。


「ちょっと考え事してた。」

時計は開店１０分前、今しかないと思った。


言おうとしたらサトルに先を越された。

「芽衣、将吾さんのことなんか言ってる？」


俺は開きかけた口を一旦閉じた。


「ただの友達だと思ってるみたいだよ。下心があるって言っても信じないし。気にしなくて大丈夫だよ。」

「そっか、それならいいや。」

サトルはひとまず安心した様子だった。


俺は間髪入れず話した。

「あのさ、サトル。俺、彼女と別れたんだ。」



急な告白にサトルはわけがわかってない様子。



「またまた〜なんの冗談。」


サトルが茶化そうとするから俺は目を瞑って首を振った。


「マジで？！何で？」



「フラれたんだよ。それもいきなり。距離に負けたのかな…。」



俺は冗談ぽく言った。


フラれたのは今年の初めの出来事だった。



正月、地元に帰ってくるはずだった彼女は帰って来ず変わりに別れのメールがきた。




“もう終わりにしよう、今までありがとう”



たったそれだけ。



５年も付き合ってあっけない終わり方。



何度も電話したけど出てくれなくて



時間がたつうちに別れの理由を聞きに飛行機乗るのもバカらしく思えて会いには行かなかった。






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