芽衣の恋愛論
出会い
「隣越してきたんだ。電気付いてたよ。」
紗英が言った。
俺は風邪をひいて早めにベッドに入った。
彼女の紗英が見舞いに来てくれていた。
隣の住人のことなんてどうでも良かった。
紗英がお粥を作ってくれた。
食欲なかったけど無理矢理口に入れた。
薬を飲んでいつの間にか眠りついて、気づくと朝だった。
いつもより片付いた部屋を見て紗英にありがとうのメールを送った。
そしてその日も仕事場に向かった。
高校生の時から乗ってるママチャリで。
3月の寒さは病み上がりにこたえた。
兄貴が始めた店を譲り受けて1年経った。
なんとかやっと軌道に乗ってきてバイトを雇う余裕も出来た。
実家の近所に住んでたサトルに声をかけた。
でも4月から東京の専門学校に通うとか言って断られた。
「土日やってるから暇なら来てよ。時給900円でどう?」
というとサトルは快諾してくれた。
それから月に2、3回サトルはうちで働くようになった。