芽衣の恋愛論
「もしもし?」
「今帰り。サトル君と歩いてるよ。」
「あと10分くらいで着くよ。じゃあね。バイバイ。」
「さっき電話したから折り返しかけてきてくれたみたい。」
携帯をしまった。
もう手は繋がなくても大丈夫になっていた。
「あ、さっき何言いかけたの?」
せっかく縮まったと思った2人の距離は元通り遠く、気まずくなった。
サトル君は両手をズボンのポケットにしまった。
私の胸がチクッと痛んだ気がした。
「明後日ライブあるから来れるかなと思って。」
「あ、うん。由宇君と行くよ。」