芽衣の恋愛論
途中、コンビニの袋を下げた由宇君とすれ違うもサトル君はスルーした。
あたしは由宇君に助けを求めたが、由宇君は連れて行かれるあたしを見てニコニコしているだけだった。
近くの洋服屋に入って行った。
サトル君は女の子ものの服を選んでいる。
「どぉいうつもり!?」
サトル君はあたしが怒っていることなんてお構い無しに嬉しそうに服を選んでいる。
「あ、これがいい!着てみて。」
と一着のワンピースを渡された。
「着てみてって…」
言いかけたのも聞かず店員さんを呼んだ。
あたしは店員さんに導かれ試着室へ。
(ワンピース…可愛いけど)
一応袖をとおす、着るとテンションが上がった。
試着室を出る。
すぐ近くでサトル君は待っていた。
「やっぱり似合う。」
呟いた。
「決まり、これ下さい。」
隣にいた店員さんに言った。
「え、誰が買うの?」
「俺が、気にすんなって。プレゼントするから。」
サトル君は財布を出しながらレジに向かった。
「ええ?なに、何で?ちょっと待って。」
あたしもサトル君に付いていく。
「いいよ。プレゼントされても困る。」
「よくお似合いですよ。」
と店員。
「そうだよ。似合ってる。」
「いやそういう問題じゃなくて…」
「19800円になります。」
と店員。
(1万9800円?!高い!!)
あたしは支払いしてるサトル君の腕を掴んだ。
「後で必ず返すから。プレゼントならもっと安いものにして。」
真顔で言ってそのまま店を出た。
あわててサトル君が追いかけてきた。