三角形(仮)



「次は何飲もうかしら?」


「シャトー・マルゴーなんて如何ですか?礼子さんワインお好きでしたよね」


「そうしようかしら。赤を頂くわ」


「有難うございます」


ボーイに持って来て貰う。





「「乾杯」」
「いただきます」





結構な年代物のワインで30万する。
元値も高いが、店ではもちろん更に上乗せした価格で提供している。


…美味いのか?
正直ワインはあんまり好きではないし、味の違いはわからない。





俺はホストだが酒には疎い。

そんな俺でも『ワインの女王』と呼ばれ、多くの著名人に愛されたこのワインの銘柄は知っていた。




「美味しいですね。…そういえば礼子さんのお店、青山に新しくオープンしましたよね?」


客の情報は出来るだけ調べる。

ホストとして最低限の事はやりたいからだ。





「よく知ってじゃない。先週18店舗目の青山2号店がオープンしたばかりなの」


嬉しそうに話し出した。





礼子さんは都心を中心に店舗展開するエステ会社の社長だ。

ゴージャスな店内の割に、料金が今までの常識を打ち破る様な破格である事から、若者を筆頭に人気に火がついた。
急成長を見せているエステ会社だ。



「おめでとうございます。それで今日はいつもよりご機嫌なんですね」


「有難う。…そうかしら?でもお蔭様で売上も予想より大きく上回っているの」


「この御時世に凄いですね。これで夢に一歩近付けましたね」






礼子さんの夢は全国No.1のエステ会社になる事だ。





「そうなの。なんだか順調過ぎて恐いくらいよ。こんなんだったら早く独立すれば良かったわ」





お互い目を見て微笑み合う。







「でも清人には色々と愚痴を聞いて貰ったし、感謝してるの」


「いえ、こちらこそ他業界のお話が聞けて良い勉強になりました。…それに愚痴を聞くぐらいしか僕が礼子さんの為に出来る事ないですし。」


苦笑しながら言う。



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