三角形(仮)



でもこの時間じゃ朝イチの映画は観れない。
昼食も微妙な時間だ。



しかし予定変更する分には問題ない。

俺は意外と気が長いのか、ある程度の遅刻は許せるのだ。








だが彼女と連絡取れないのは、如何なものか。





思い返せば、昨夜おやすみメール送ったのに返信はなかった。

予兆はあったのだ。







遅刻するのも、急に連絡取れなくなるのも今日が初めてではないのだから。




30分の遅刻なら可愛いほうだ。
むしろ当たり前で、最長で7時間待った事があった。あの時は事故にでも遭ったんじゃないかと、心配で堪らなかった事を覚えてる。






最終的には「ん〜今起きたぁ。携帯の充電切れてて気付かなかった〜ごめんねえっ」で終了だったのだが。





それにはいくら彼女に優しい俺でもキレた。



暫くメールも電話もシカトした。学校で会っても話さない所か、目も合わせなかった。



それでも彼女は毎日メールと電話をして来た。


『この間は本当にごめんね。反省してる。もうあんなことしないから返事ちょうだい』というようなメールが一日に数通届いた。



学校でも俺がシカトするのを分かっているのに、笑顔で「すぐるぅ、おはよー」と挨拶して来た。


顔をくしゃっとさせて、目尻が垂れた俺の大好きな笑顔で。





それでも許さなかった俺に対し、終いには上目遣いの涙目で「もうココのこと嫌いになっちゃたの?ココはすぐるのこと大好きなのにぃ」と言ってきた。





それは俺の最も弱いとする顔。






その顔を見た時、俺はもう許していた。




< 4 / 77 >

この作品をシェア

pagetop