三角形(仮)
でもこの時間じゃ朝イチの映画は観れない。
昼食も微妙な時間だ。
しかし予定変更する分には問題ない。
俺は意外と気が長いのか、ある程度の遅刻は許せるのだ。
だが彼女と連絡取れないのは、如何なものか。
思い返せば、昨夜おやすみメール送ったのに返信はなかった。
予兆はあったのだ。
遅刻するのも、急に連絡取れなくなるのも今日が初めてではないのだから。
30分の遅刻なら可愛いほうだ。
むしろ当たり前で、最長で7時間待った事があった。あの時は事故にでも遭ったんじゃないかと、心配で堪らなかった事を覚えてる。
最終的には「ん〜今起きたぁ。携帯の充電切れてて気付かなかった〜ごめんねえっ」で終了だったのだが。
それにはいくら彼女に優しい俺でもキレた。
暫くメールも電話もシカトした。学校で会っても話さない所か、目も合わせなかった。
それでも彼女は毎日メールと電話をして来た。
『この間は本当にごめんね。反省してる。もうあんなことしないから返事ちょうだい』というようなメールが一日に数通届いた。
学校でも俺がシカトするのを分かっているのに、笑顔で「すぐるぅ、おはよー」と挨拶して来た。
顔をくしゃっとさせて、目尻が垂れた俺の大好きな笑顔で。
それでも許さなかった俺に対し、終いには上目遣いの涙目で「もうココのこと嫌いになっちゃたの?ココはすぐるのこと大好きなのにぃ」と言ってきた。
それは俺の最も弱いとする顔。
その顔を見た時、俺はもう許していた。
。