三角形(仮)
指定された場所は新宿の居酒屋だった。
店からも案外近く、タクシーを使い急いで現場へと向かう。
指定された居酒屋へ着くと、店の前に彼女と他に3人女が立っており、何やら話しをしていた。
「ココ!」
走って彼女の近くに行った。
「あ!すぐるーやっと来た!」
近付いて見ると、どこかに怪我を負った様子もなく、表情も明るく何かに巻き込まれた訳でもなさそうだ。
いつもと変わらない様子の彼女。
いや、…少し酔っている。
「すぐる、どーしたの、その格好?」
彼女は不思議そうな表情をする。
それもその筈、俺は仕事場から急いで向かった為、仕事着のスーツ姿だ。
普段俺はスーツを全く着ないから不思議に思うだろう。
周りでは「ココの彼氏超カッコイイ〜」「羨ましい〜」「友達紹介してくれないかな〜」等と話しているが聞こえない振りをする。
「…ちょっとあって。」
俺はあやふやにごまかす。
いや、それより今は彼女の事が大事だ。
「…それよりココ!大丈夫なのか?!何があった?」
俺は彼女の両肩を持ち、真剣な表情で問う。
「痛いよ、すぐる!」
「あ、わりぃ」
彼女の両肩から手を離した。
心配になる余りに、力を入れすぎたみたいだ。
「ってゆうか、ちょっとお金足りなくて困ってただけだしぃ」
は?
。