三角形(仮)
彼女は今何て言ったのだろうか。
俺は聞き間違いである事を切に願う。
「もう一回言って」
俺は自分でも分かる程に低くなった声で言う。
俺の変化に気付かない程、彼女は酔っていた。
「皆で飲んでたんだけど〜、飲み過ぎちゃって。1万くらい足りなくて〜で、すぐるが確か新宿のバーで働いてるってのを思い出して。それで呼んだって訳〜」
俺は冷静さを取り戻した。
財布から有り金の5万円を抜き、彼女へ向けて撒き散らす。
「別れよ」
それだけ言い、踵を返す。
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