三角形(仮)



起きるとフカフカのベッドではなく、リビングのガラステーブルだった。
どうやら机に突っ伏して寝ていたらしい。
おかげで身体のあちこちが痛たい。







今日は同伴でいつもより早めに家を出なければならない。






支度を終えた俺は、家を出る。













「遅くなってごめんなさい。清人、待った?」

「いえ、遅れてないですよ。僕が鏡花さんに会いたくて早めに来ただけですから。」

「もぅ、相変わらず口が巧いのね」

「僕は本当の事を言ってるだけですよ。では行きましょうか」


予約した代官山のレストランへ向かう。





鏡花さんは、幼少からバレエやピアノ、華道、茶道などを習い、
小学校から受験をし、中学以降はエスカレーター式。

根っからのお嬢様でお金に困った事はないらしい。


20歳の時、今の旦那と見合いをして結婚した。
ずっと女子校だった為、それまで男性と付き合った事はなかったという。

初めは好きではなかったらしいが、時が経つにつれ、お互いに惹かれあった。

それが去年、旦那が新たなプロジェクトで、アメリカに出張に行ってしまった。
付いて行こうと思ったが、向こうに知り合いもおらず、考えた末、日本に残ったのだ。

いつそのプロジェクトが終わるのかも分からず、旦那を待っているだけの生活に疲れ始めた頃、友人が我がホストクラブ『SHINE』に連れて来たという訳だ。




週に2、3回は来て高価なボトルを開けてくれる。
ワイワイ騒ぐというよりは、2人で落ち着いて話すという感じだ。




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