三角形(仮)



俺は、リアが『俺の事を知らない』と言ってたのを思い出し、シカトして煙草を吸う。



「ちょっとー!無視しないでよ」


リアは俺の前に回り込み、睨んでくる。


「あー。・・リアさんだっけ?」

「なにその感じ!ムカつく!!」

「だってあんまり俺ら話してないじゃないですか?それに俺、初対面の人には人見知りするっていうか」


リアが言った嘘をそのまま継続して演じる。


「人見知りするとかウソじゃん!真帆にデレデレしてたくせに!」

「あ、顔に出てました?真帆ちゃん美人なんで、つい」

「ん゛ー!真帆は美人だけどー…っていうか、敬語やめてよ!」

「いや、初対面なんで敬語は使わないと」

「皆には使ってなかったじゃん!……それに初対面じゃないし」

「え、でもリアさんが『俺の事知らない』って言ったじゃないですか?」

「言ったけど…。……‥ヤダ、やめてよ……」







リアの声が小さくなる。
俯き表情が伺えない。

…ヤバい、苛め過ぎたか。



俺は屈んでリアの顔を覘いてみる。

目をウルウルさせ、今にも涙が零れ落ちそうだ。





あーやっちまった。
ココに限らず、俺は女の涙に弱いようだ。



「ごめんね。苛め過ぎた」


リアを左手で抱きしめ、右手で頭を撫でる。



「でもリアが悪いんだからなー。俺の事知らないとか傷付いたし」


リアは鼻を啜りだした。
本格的に泣き出したみたいだ。


「…んねぇ……」

「ん?なに」


俺の胸に顔を埋めているからか、リアが何を言っているのか聞こえない。


リアは顔を上げて、涙でぐしゃぐしゃの顔で言う。



「ごめんね。……だって恥ずかしかったんだもん・・」


今度はちゃんと聞こえた。




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