完全秘密主義恋愛♥
ーーーーー
ーー

「こうやってー、なるべく根元から乾かしていくのよ」

「ふーん…」


宝の部屋で、あたしは髪を宝に乾かしてもらっていた。

ドライヤーの音で声が聞こえにくい。

「瑆乃、アンタ風呂あがってすぐに髪乾かしてないでしょ」

宝は声を低くして言った。

「短いから自然乾燥でいいかと…」
「んなわけないでしょ」

と、宝の厳しいお言葉。

「お風呂入ったあとちゃんと髪を乾かせば、翌朝毛先がぴんぴんはねる、なんてことはないんだから」

「そんなもんかねぇ」

「そんなもんよ」

宝はぴしゃりと言う。


「よし、こんなところかな。瑆乃、髪触ってごらん」

宝はそう言ってドライヤーの電源を切った。


触ってみると、宝の言う通りはねていなかった。

宝の手元にある手鏡で見ると、あたしの髪は大人しくストンと揃っていた。

「うわー自分の髪じゃないみたーい」

「でもだいぶ傷んでるわねー。最低1週間に一回はトリートメントするのを勧めるわね」

宝はあたしの髪を触りながら言った。

「へー。でも、さっきの一回だけでも結構指通り違うと思うんだけど…」

「またすぐに元通りになるんだってば」

宝があたしの頭をツーンと小突く。

< 92 / 147 >

この作品をシェア

pagetop