妖魔05~正道~
「ある日、私は摩耶さんが手塩にかけて開発したお汁粉を飲んでいたんですよ」

今あるのは、いらない件だよな。

「ウチもホンマびっくりしたわ。奇跡の配合って奴やね」

聞くに耐えない会話の流れだな。

本筋に辿り着くのはいつになるのだろうか。

「あの味は売り出して、金塊分のマネーが入ってもおかしくないですね」

「いややわー。あれはパパのために作ったんやから、パパ独占法でパパしか飲んだらあかんねん」

「おや、摩耶さんの熱の篭ったお汁粉を世の人に分け与えれば、摩耶さんはお汁粉教の開祖になってもおかしくないですよ」

本気で言ってるのか。

お汁粉で話をどこまで飛躍させるつもりだ。

「あー、解った解った。お前等のお汁粉に対する甘すぎる熱情があるのはわかったよ。お汁粉を飲んでたらどうなったんだよ?」

「ええ、地元に帰ろうと思いまして」

「それだけか?」

お汁粉教の話、いらない。

数分間の出来事は、闇の彼方へと飛んでいったようだ。

「ええ、飛鳥さんに生物の教師を頼みました」

「頼みましたって。そんな都合よく変わりの教師がいるのかよ」

「ええ、教員免許も持ってましたし、大学ではそちらの分野を専攻していたようですしね。ああ、それと、彼女はいつか私に復讐するとも言ってましたね」

一体、飛鳥という人に何をやらかしたというのか。

「私にどんなハニートラップで貶めてくれるのか、胸がドキドキしますね」

普通の人なら恐怖するところだしな。

しかも、色仕掛けや脅迫など無意味だろうよ。
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