妖魔05~正道~
「絶対だぞ」

「解ってると言いたいところだが、もう少し時間がかかっちまいそうだ」

「あの、姉ちゃんか?」

「ロベリアもそうだが、吟も一緒に連れて行きたい」

二人は行方不明だ。

「マリアは街について詳しいか?」

「私よりも、赤城さんのほうが詳しいです」

「私に出番を回してくれるとは、マリアさんの一歩下がった精神に大和魂を感じますね」

マリアのほうがいいのだが、この際、文句は言わない。

「アカ・マナフ、あの四つのビルには誰かいるのか?」

「今、四派閥はないですが、広目さんが帰ってきたとの噂がありますね」

妹の様子からしてロベリアに危害を加えるとは思わない。

ならば、最優先で目指すのは吟の元だろう。

いくら吟が万能だからといって、琴の不幸な能力は危険すぎる。

何かあってからでは遅い。

「いくか」

四割程度しか回復してないが、行くしかない。

今、吟に会いたい。

「焦ってはいけません。子羊が虎の住処に飛び込むような感じです」

「マリア、今、動かなくちゃならないんだ」

コートを羽織、俺は広目ビルへと向かう準備をする。

「また、戻ってくる」

「オラも行くだ!」

クルトが後から付いてくる。

「クルト、お前」

「お前が死んだら、絶対が絶対じゃなくなる」
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