妖魔05~正道~
「美咲、下がっていろ」

「うん」

美咲は後ろで待機する。

ティアのコアを抜いた事によって、魔力はないはずだ。

「はあ」

ハンスの能力を使用できる権限を麻痺させた。

もし、俺が半妖でなければ、使う事は出来なかっただろう。

何故ならば、人間だと新たなコアを入れる余裕はないからだ。

半妖に生まれてきて良かったと言わざるを得ないな。

そして、他の麻痺能力の使用は出来ない。

何故ならば、一つしか麻痺させる事が出来ないからだ。

別の物を麻痺させるならば、解除しなければならないという仕組みである。

だから、島にいた時、ティアが麻痺を解除した事により、警報が鳴り響いたのだろう。

「こりゃあ、面白い事が起きたなあ」

能力が消えたというのに、余裕の笑みだ。

「久々に思い出したぜえ。スリルっていう言葉をなあ」

「そうかよ」

「最高だなあ。こんなにも、生きてて良かったと思わなかったぜえ」

『ギャハハハハハ!やっぱテメエとつるんでて良かったぜ!こんなにも、ゾクゾクきちまう奴に出会うとはな!食い甲斐が増えるじゃあねえかあ!』

言葉もない。

生きる事に執着がないのか。

ならば、厄介だ。

不死身の能力なんて、関係ないのだ。

死ぬことを恐れない。

すなわち、すでに死人と同じなのだ。

最初から、奇跡など必要としないのだ。

だが、俺は数ある奇跡を背負っている。

『王子様?』

『あなた、何を考えているの?壊れるわよ』

「いいんだ、やってくれ」

身体は限界。

しかし、ダスト・ライトなんて呑気な事をやっている暇はない。

死人は死人らしく、墓の下にさっさと追いやるべきだ。
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