妖魔05~正道~
「最初に前もって言っておきますが、質問に答えられなければペナルティーが与えられます」

「おや、考えただけで生きる希望が湧いてきますね」

「そして、私達は対等であり、あなたが質問に答えられた場合、私にペナルティーが課せられます」

「何て勇ましいのですか。会話だけで特典をつけすぎだと思いますよ」

どのような質問で、どのような会話に繋がるのでしょうか。

「質問は私が考える事になっていまして、制限時間は一分。質問一、生きるとはなんですか?」

選択問題でない限り、レインさんの匙加減になるようですがね。

「死ぬためにある事ですかね」

「何故、そう思われるのですか?」

「過程はどうであれ、結局のところは死ぬために生きているといってもいいでしょう」

私が答え終えると、レインさんの足にナイフが落下して刺さります。

「ぐう!」

悲痛な声と涙を浮かべながら、ナイフを見つめています。

「おや、あなたの匙加減一つではないのですか?」

「違い、ます。部屋はモニターされていて、モニターの向こう側にいるお金持ちの方々が面白いと感じればあなたが正解となっているんです。今、あなたの正解が面白いと感じられましたから私にナイフが落ちたわけです」

「おやおや、それはそれはお金持ちの方を満足する回答を出せば、こちらには何も起こらないという事ですか」

廃墟を思い出しますね。

やはり、お金持ちの力は偉大という事でしょうか。

「ギャンブル対象にでもなっていそうですね」

「かもしれませんね」

足にナイフが刺さったまま、彼女は顔を上げます。
< 170 / 290 >

この作品をシェア

pagetop