妖魔05~正道~
「まあ、いいじゃないですか。大きな情報を手に入れられたんですから」

下に戻って壁を破壊しながら進み、別の場所から上階に上がるという方法なんてものもあるんですがね。

「どっちが座るって、何勝手に座ってるのよ」

「いやあ、すいません。彼女との会話を楽しませていただこうかと思いまして」

最近、ゆっくりとお話していませんでしたからね。

それに、質問に答えられなかったら、どんなびっくり体験が出来るのか、楽しみなんですよ。

「野川さんは先に、皆さんの顔を拝んでもらっていいですよ」

「アンタの破天荒さのほうが皆を先に助けられそうな気がするけど、いいわ。先に行かせてもらう」

野川さんは歩いていき、レインさんの横を通り過ぎて扉を開けて部屋を出て行きました。

「では、ゆっくりとお話をしましょうか」

戦場で腰をかけられるとは思いもしませんでしたね。

メザシ料理をつつきながらお話できると、場が和むのですがね。

「随分と余裕ですね」

「あなたに評価をいただけるなど光栄ですね」

「死ぬかもしれないという状況に、恐れる事はないんですか?」

「死ぬかもしれない仕掛けがあるんですか。それは、楽しみで間違ってしまいそうですよ」

彼女の顔が少し険しくなりましたね。

やはり、家庭の事情で急ぎたい気持ちがあるのでしょうか。

「まあ、いいでしょう。あなたが全ての質問に答えるまで、椅子からは立ち上がれないようにセッティングしてます」

「おや、不思議な仕掛けもあるものですね」

立ち上がろうとしても、椅子からお尻が離れません。

足も動きそうにないですね。

「そして、他の誰も部屋に入る事は出来ません」

「でしたら、上の階の方は下に降りる事が出来ませんね」

「そうなりますね」

彼等なら天守閣から飛び降りる事は出来そうですがね。
< 169 / 290 >

この作品をシェア

pagetop