妖魔05~正道~
「琴には魅力がないニャ」

「そういう事を言ってるわけじゃないんだがな」

こっちが落ち込みたいくらいだ。

不幸と思う前に、元気付けてみるか。

「じゃあ、まずは琴の事を教えてくれ」

笑顔になりつつも、琴に聞いてみる。

「丞は優しいニャ」

「ありがとうな」

しかし、優しさがあっても、守れなければ意味がない。

吟の言ってた通り、俺は弱い。

他の人は守れても、自分の愛する人は全て守れない。

力は必要だ。

だが、いくら力があっても、一番大事な人を守れなければ、何のための力か解らない。

もちろん、今いる琴や他の皆も大事であるには変わりないんだけどな。

「それで、琴の好きな物は、プリンにゃ」

「随分と今時だな」

「にゃ、にゃにゃ!それは琴の年齢が今時ではないという事かにゃ!?不」

「違うよ。琴は元は猫なんだろ?猫まんまとか魚とかが好きなのかなと思ったんだよ」

「琴は猫舌にゃ。熱い物は嫌にゃ」

好き嫌いが多そうだな。

俺達はまだ動いている電車に乗り込み、琴の家の地域へと向う。

夜の世界。

辺りは真っ暗で遠くまでは見えない。

俺の隣に座る琴。

「それで、吟と琴の関係は?」

「あ、そうだったにゃ」

琴は思い出したように、手を打った。
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