妖魔05~正道~
先ほどの戦闘によって、人間共のニオイが消えた。

戦闘を回避したいがためだろう。

女の後を追っていくか?

無闇に動くよりはいいかもしれない。

葉桜千鶴が情報を知っている可能性は限りなく低いだろう。

「こいつ!さっさと唐揚げをださねえか!」

燕の姿がないかと思いきや、傍で唐揚げの喝上げをしている。

しかも、人間の子供相手にだ。

「刃!私がお前のために唐揚げをゲットしてやるからな!」

「俺の名前を勝手に使用するな」

ハイキックで子供から離す。

女児は怯えているように見える。

何で子供が廃墟に居るのか。

「死にたくなければ、隠れておくんだな」

俺が手を下さなくても、他の誰かがどうにかするだろう。

俺が背中を向け、マリアの居場所を考えているところで、女児がズボンの裾を引っ張っている。

何故か、離れようとはしない。

「こいつ」

女児から妖魔のニオイが微かながらにする。

「お前、どこから来た」

「あっち」

指差す方向は、ブロンドの女が来た方向だった。

「そうか」

可能性は大きく膨れ上がる。
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