妖魔05~正道~
「今からお前を連れて行く」

「ああ、皆さんに今日の晩御飯を伝えなくては」

俺の言葉を無視し、奥の扉へと向おうとする。

「おい」

腕を掴んで、マリアを止める。

「何でしょう?」

「だから、お前を連れて行く」

「すいません、お仕事があるんです」

マリアには、俺を引き離す力もない。

俺が引っ張ると、引きずられていく。

「あのお」

「面倒くせえ。お前が話しをしないなら、それでいい」

「怪我しますよ」

マリアの言葉と同時に刃物が飛んでくる。

マリアを抱えて飛びのくと、ナイフが床に刺さる。

「すいませんねえ。マリアさんの素晴らしさをまだまだ子供達は知るべきなんですよ」

「そうや!あんた等が何か知らんけど、マリアを連れて行くのは許さへんで!」

奥の扉の前に立っているのは、男女の二人。

一人は混合種、一人は人間。

混合種は黒いスーツに眼鏡をかけており、人間はジーパンにタンクトップだ。

「また面倒な奴等が出てきたな」

「私としては、あなたと一つ屋根の下でメザシを食べる仲になりたいんですよ」

しかし、男の手にはナイフが携えられていた。
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