妖魔05~正道~
「それで、ラインは千鶴の前に現れた、という事か」

何故、千鶴は同意した?

『あなたが半端な態度を取ったから千鶴は手術を受ける決心をした。あなたの事を気に掛けていたというのに、あなたの身勝手さが千鶴を戦場へと駆り立てた』

あの時、俺が全てを話していれば、千鶴はジャスミンとで会う事はなかった。

そして、ジャスミンは別の半妖魔と契約を結んでいたのかもしれない。

だが、例え話であって、今ある物が現実。

「君は、千鶴を守ってくれたんだな」

『守ったんじゃない。私は姉さんに会いたかった。そのために利用しただけ』

「それで、生き延びた以上、君はサルビアを愛していて、手に入れるという事か」

『姉さんと私は傍にいた。元に戻すだけ』

侵食が再開した。

「そうか。そんなに、サルビアの事を」

『あなたには解らない』

「駄目」

サルビアが俺の傍にいる。

『姉さん、私があなたの傍にいてあげるから』

俺の手が勝手に動き、サルビアに伸びる。

しかし、それを払いのけた。

『姉さん?』

「私は、王子様と共に羽ばたく!それが王子様との誓い!」

『そんな、そんなの』

「サルビア」

「私はロベリア。王子様とお姫様と共にある者」

芯のある曇りのない瞳。
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