妖魔05~正道~
「ぜえ、ぜえ、オラだって、役に立てるんだ」
クルトがビルの中から出てくる。
クルトが能力によって結界を破って、屋上まで吟に教えてきてくれたのか。
「す、まねえ」
俺は膝をつき、前を見る。
『モード:審判』は、まだ終わっていない。
傍には千鶴の腕が落ちているが、関係なしに立ち向かってくる。
しかし、琴の不幸な能力発動により、ビルの一部が大破して千鶴に落下した。
それを軽々しく回避する。
「うーむ、アレと闘うのはちと骨が折れるアルな」
頭を掻いて、俺を見る。
「逃げろ、吟」
「お前は優しいな。でも、方法があるのに逃げるのはつまらない」
「何?」
吟が俺の胸に手を当てる。
「郁乃、お前の息子と娘がピンチだ」
「何を、してる」
まるで、俺の中に郁乃母さんの思念体が存在している事を知っているかのような言い草だ。
吟は、見えていたのか。
「郁乃、お前は力が残っているのに、丞の中で果てるつもりか?」
「郁乃母さんを犠牲にする事が、吟の方法だっていうのか?」
背後には千鶴が迫っている。
「本当に、いいのか?」
二メートルもないところで、俺の中から闇が抜け出す。
それは、郁乃母さんのシルエットをしているかのようだった。
クルトがビルの中から出てくる。
クルトが能力によって結界を破って、屋上まで吟に教えてきてくれたのか。
「す、まねえ」
俺は膝をつき、前を見る。
『モード:審判』は、まだ終わっていない。
傍には千鶴の腕が落ちているが、関係なしに立ち向かってくる。
しかし、琴の不幸な能力発動により、ビルの一部が大破して千鶴に落下した。
それを軽々しく回避する。
「うーむ、アレと闘うのはちと骨が折れるアルな」
頭を掻いて、俺を見る。
「逃げろ、吟」
「お前は優しいな。でも、方法があるのに逃げるのはつまらない」
「何?」
吟が俺の胸に手を当てる。
「郁乃、お前の息子と娘がピンチだ」
「何を、してる」
まるで、俺の中に郁乃母さんの思念体が存在している事を知っているかのような言い草だ。
吟は、見えていたのか。
「郁乃、お前は力が残っているのに、丞の中で果てるつもりか?」
「郁乃母さんを犠牲にする事が、吟の方法だっていうのか?」
背後には千鶴が迫っている。
「本当に、いいのか?」
二メートルもないところで、俺の中から闇が抜け出す。
それは、郁乃母さんのシルエットをしているかのようだった。