妖魔05~正道~
たった一秒、されど一秒。

その一秒が足りなかった。

俺の腹が抉られるのは、二度目。

「ご、あ」

気付けば俺の腹の中からジャスミンのコアを取り出した、白き鎧を纏った千鶴がいる。

俺は変身が解け、生身となっている。

千鶴が俺の腹を抉るような事をするか。

違う。

これは、『モード:審判』。

「ぐう」

今のままでいけば、暴走したロベリアはジャスミンのコアを握りつぶす。

俺は、千鶴の手首を掴んだ。

「やめろ、妹を、殺すつもりか」

だが、力が入らない。

「くそ、ったれ」

刹那、何かが上空から落ちてくる。

落下と同時に手刀によって、千鶴の腕が斬りおとされた。

そのまま、回し側足蹴りで千鶴の腹の蹴り、後方へと吹っ飛ばす。

「全く、お前はアチシに一途アルなあ」

「吟」

後から尻尾をヘリコプターの羽のように回しながら、琴が吟の頭の上へ振ってきた。

「ぎゃあ!吟ちゃんの彼氏がすごい怪我ニャア!これはトラウマにゃああ!不幸にゃああああ!」

「待て、動けないのに、能力を作動させる、な」

ビルの中にいたのは解る。

何もなかったのも、見たとおり解る。

今の状況を教えたのは、誰だ?
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