妖魔05~正道~
男は四人。

二人目の棒切れの振り下ろしをサイドに回避し、肘鉄を顔面にぶつける。

思ったよりも内臓の残ったダメージが大きく、限界だった。

顔面を殴られ、俺は地面に這い蹲る。

俺が倒れた後に、攻撃がクルトに及ぼうとしている。

俺はクルトに覆いかぶさり、庇う。

「お前、何してるだ!?」

「誰かの、痛い顔を見たくない」

背中を打たれるたびに、内臓の痛みが増す。

何度か打たれたところだった。

「お止めなさい」

男達の背後に、修道服を着用した女がいる。

顔立ちは綺麗で、雰囲気は落ち着いている。

「ほっほう、いい姉ちゃんだな」

「リンチは下らない征服心の現われです。今すぐお止めなさい」

女性は勇ましい。

「あんたが体で払うのなら、やめてやるさ」

「ですが、リンチを止める事によって、改心の一歩となるでしょう」

話がかみ合ってない。

もしかするとだが、俺の考えている人物なのか?

都合が良い事が起きるか?

「マリア」

「はい、どなたかは存じませんか、お体の具合はどうですか?」

今のは答えたと捉えてもいいのだろう。

目的の女性は早々に見つけたが、今度はロベリアを失ってしまった。
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