妖魔05~正道~
飛び降りたコートの男性の隣を抜けていきます。

「おいおい、お前さん、どうするつもりだ?」

「副業を再開させようかと思いましてね。お金は入りませんが」

「副業?おい、待て、お前」

コートの男性と会話をしたいところですが、先に仕事を終わらせましょうか。

鎌を振るってきますが、サイドステップによって回避します。

私は足元まで走って行き、ナイフを突き立てます。

堅さはありますが、ナイフは刺さるようです。

そして、柄に足を置いて高く飛びます。

柄に巻きつけている糸を引き、ナイフを手元に戻します。

降り立った先は蟷螂さんの頭の上です。

「今日は弱酸性石鹸について摩耶さんと語るつもりでいたんですがねえ、あなたのおかげで今日の楽しみがなくなってしまいましたよ」

傍にあった目にナイフを突き立てます。

片目から液体を飛ばし、悲鳴を上げました。

「すいませんねえ。退魔師の方々はあなたに理性を戻すつもりでしょうが、私はあなたを死地にぶち込まなければならないんですよ。ええ、私の奥がそう告げています」

しかし、蟷螂さんは飛び立ちます。

「まだ元気はあるようですね。あなたの元気は誰かのために役立てて欲しかったんですがね」

もう片一方の目にもナイフを突き立てました。

魔力発散ナイフで三度刺された事により、蟷螂さんの魔力の減少は素早いようです。

蟷螂さんは地面へと墜落していっていますね。

「アイスランス!」

叫び声が聞こえてくると、氷柱が地面から突き出てきます。

私は、蟷螂さんからそちらへと飛び移りました。
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