妖魔05~正道~
三角蹴りでふっとばす。

「余計な体力を使わせるな、面倒くせえ」

一息ついたところで、少し大きなネズミが俺の前に辿り着く。

ところどころに怪我を負って、瀕死状態だ。

ネズミからは魔力を感じる。

そして、嗅いだ事のあるニオイ。

目の前のネズミは、東地区の改革派代表者だ。

ネズミが口に何かを咥えている。

小さな筒だ。

それを口から離すと、ネズミは息絶えた。

「何が、起きた?」

筒の蓋を開けると、小さな紙が入っている。

『保守派、改革派、壊滅。至急、戻られたし』

「何の、冗談だ?」

落ち着いてきていたのだが、紙面に書かれた事により心拍数が上がっていく。

「里は!?母親は!?」

考えがまとまらない。

どういう経路で、今の状況が成り立った?

燕にも知らせが来たらしく見ているようだが、時間が止まっている。

「何故だ!?」

早急に廃墟から出なければならない。

しかし、金を払わなければならない。

払わなければ先ほどのように入り口前に戻ってしまう。

俺は金を収集すべく、場所を移動した。
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