★ブルーの彼方★
「そんなの、夏季のお母さん一人が悪いわけじゃない。



あんたのお父さんだって、悪いに決まってる!!」



 江利は大声で言った。



「どうせ、夏季の母親が、誘惑したに決まってる!!



あんなに仲が良かった家族が……



財布やタイヤ、庭が荒らされたぐらい、そんなことに比べれば、大したことないだろ?



本当は何もかも、奪ってやりたかった!!



わざと、江利のタグを盗み出し、荒らした庭に落としてやった。



江利との仲を、一層険悪にしてやりたかった!!


それと、お前の彼氏の木村にも、お前に似た子を紹介してやったんだ。



何もかも壊してやりたかった!



でも…なかなかうまくいかないもんだな…



憎んでも…憎んでも…憎み…きれなかった…」



 そう言う了の声は、だんだんと小さくなり、涙声になっていった。
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