神風

「体操してそこにメニューはってあるからやってね。」


円くなっていた部員に指示を出す。


「じゃあ、今日はライから。」


「屈しーんっ!」


あたしは音楽室に向かう。


すごく遅い足取り。


イライラする。


「由那は練習しないの?」


あの輪から出てきたのだろうライが聞く。


「だって走れないから。」


少し黙ってあたしの顔を覗き込む。


「走ることだけが練習じゃないよ。人の見たり自分の分析したり。怪我しててもできることはたくさんある。」


松葉杖を持っていないあたしの手を握って彼は校舎の方に走り出す。


走ることだけが練習じゃない――か。


そんなこと頭では理解してる。
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