神風

無言の時。


嫌な気はしない。


きっと彼女は心を落ち着かせている。


「飛鳥っ!由那っ!」


バンっと大きな音がして出てきたのは花保だった。


由那が慌てたようにあたしの後ろに隠れる。


「あたし、頑張ってみようと思う。飛鳥がしたように。自分のこと優先しすぎたの。でも大切なものは自分で守りたい。」


彼女が強い瞳で言う。


「がんばって。」


あたしの後ろにいた由那が言う。


彼女は強いな。


何をされたって誰も恨んだりしていない。
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