神風

「よっ!」


部屋には彼がいた。


「どうしたの?」


中学の時にはよく吹きに来てたけど。


「むしょうに吹きたくなったから。」


「毎日吹いてんじゃん。」


「由那とやりたくなったの。あのアンサンブル。誰もできないから。」


あたしはかばんを置いてベッドに腰掛ける。


「いいよ。やろうよ。」


あたしはケースからトランペットを取り出す。


学校でのことは内緒。


心配はかけたくないから。


軽くウォーミングアップをして合わせた。


久々にやっても合うもんだな。


部屋中に軽やかな音楽が流れ出した。
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