神風

「下駄箱に手紙が入っててさ。」


さっきより落ち着いた彼女が喋り出した。


「ほら。」


すっとメモを差し出す。


そこにはあたしに宛てたものと同じ文字で


『部活に戻ってきなさい。さもないと大切なものを失うことになる。』


チェーンメールかよ…


「飛鳥は戻るの?」


「え、戻るわけないじゃん。由那は?おさまった?」


「たぶん、変わってない。」


見てないからわからないけど。


「気にしちゃ負けだよ。」


あたしが言う。


「そのとおりだね。」


彼女はそう言ってあたしの横で楽器を吹き始めた。
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