傷跡


なんか…

一日の始まりにあんなことがあったせいもあったのか、その日の接客中はとにかくパワフルに頑張った。



リピーターの指名客もうまい具合に来てくれてたし、場内指名もガンガン取って。




今思えば、あたしはただ必死だったような気がする。



ナンバーワンになる。

意地になって、目指すべきものを見つけた気になって。



あたし自身も、水商売という世界に浸かりつつあることに…

この時はまだ気付かないでいたんだ。




あたしはずっと、光輝が変わったんだと思ってた。


でも、それだけじゃなかったんだよね。



あたし自身も…

少しずつ変わっていってたの。




光輝を好きになってから、自分の中のいろんな感情を知って。


楽しい気持ち。
悲しい気持ち。
苛立つ気持ち。
行き場のない気持ち。



悩んだり。

やきもちやいて悔しくなったり。



つまらない一言や、ちょっとした行動で喧嘩になって。


なのにたいしたことないことに跳びはねたくなるぐらい幸せを感じたりもして。



でも結局…

あたしは光輝を信じられなくなった。




だから…

離れることに決めたんだよね。



< 225 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop