傷跡

守るべきもの




だけど……――



エレベーターを降りてエントランスを抜けると、マンションを出てすぐに雨が降ってきていることに気付き、思わず足が止まった。



そして次の瞬間、マンションの前でうずくまって座り込んでいるような人の姿を見つけたあたしは、思わずその人の元へと駆け寄っていた。





『大丈夫ですか!?』




雨が降ってきてるのに…

こんなところに座り込んでるなんて…





『大丈夫で…す』




そう言ってその人が顔をあげる瞬間までは、あたしは本気で心配してたんだ。





『ルイ……』


『あ…杏奈…』




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