世界を敵にまわしても


――止めどない偽りを繰り返してた毎日。


独りで過ごす世界は嘘のように冷たかったのに、ムキになって、強がりを壊せなくて。


変わらない、何も。


変えることなんか出来ないと自分に思い込ませていた。


だけどそこから連れ出してくれたのは、先生。


あたしが好きになる前から、先生はあたしを見ていてくれたなんて。信じられないけど、でも妙に納得してしまう。


先生はずっと見ててくれたから、あたしが自分を偽って過ごしてたことに気付いたんでしょう?


美しい月は、きっと先生の事なんて言ったら、先生は笑うかな。


でもそう思うの。夜空みたいな暗闇の中にいた、あたしだから。


その夜空をずっと見て、照らして優しく笑う、美しい月は先生だよ。



決め付けていた明日を変えてくれた先生に、あたしは何が出来るだろう。


自分次第で何もかも変えられると教えてくれた先生に、あたしは何を返せるだろう。


それを、これから考えていけばいいのかな。


先生のそばでゆっくり考えられたら、幸せ。


先生があたしの支えになったように、あたしも先生の支えになれたら、もっと幸せ。




5月が終わる頃。


あたしと先生の恋は、始まったばかり。




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