世界を敵にまわしても
「俺は人気っつーか、別にそういんじゃないけどね」
自覚が無いのか謙遜してるのか。どっちだとしても、嫌な気分にはならない。
「彼女は? いないの?」
「無いナイ! そういう気配ゼロ!」
両手がふさがってる晴は代わりにブンブンと首を振って、その仕草が犬みたいだと思った。
「でも中学の時からモテるし、告白されたりもするでしょ?」
「ちょー、何なのさっきから! 褒めても何も出ないよ!?」
……面白い。
頬が少し赤くなってる。
「てか、俺のこと知ってたんだ」
「え……同じクラスでしょ。知ってるよ」
3階から1階へ降りると、晴は「そうじゃなくて」と少し口ごもって言う。
「中2の時同じクラスだったの、覚えてっかなーと思ってたから」
覚えてない方が無理な話なんだけれど。やっぱり自分が人気者だって自覚ないのかな。
「覚えてるよ。よく先生に怒られてたよね」
「うわー! 覚えててもやっぱそういうイメージなんだ、超恥ずい!」
ぎゃーっと1人騒ぐ晴に思わず笑ってしまい、その事実に自分が1番驚いた。
晴も見ただろうけど、何とも言えない気恥かしさが襲って、下駄箱が見えたことにホッとする。