CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=

1.Open

 



「石田マネージャー、全員のポジションと、ショータイム中のシフト交代、ショーの回数やステージのローテーションを一覧表にまとめておいてくれませんか。」


『もう出来てますよオーナー。』


「もう出来てる!?

まだ頼んで無かったのに、手早いね!」


『営業していくには、必要かと思って、スタッフ全員の毎日のシフトから、ショーのローテーションは、早い段階から作っておいて、それに併せて練習していました。』


「さすがだな。」


『私より小峰マネージャーの方が凄いですよ!

今日までの支出や入金、冷蔵庫や空調設備の各種リースを計算して、スタッフ全員の能力をチェックして給料も決めていってます。

そっから逆算して、売り上げ見込みも算出しての、1日の売り上げ目標額まで出していますから。』


「そこまで出来ているんだ!」


『1人の客単価も出して、1日の客動員目標人数と売り上げ目標額から、毎日の売り上げ金額と人数を入力するだけで、パーセンテージが分かるようになってますよ。

アンケートボックスの設置もしていたし、カウンターの中では、お客様の目の前でカクテルを作るのだからと、バーテンをやっている知人を呼んで、ショーの様に見せるシェーカーの振り方や、注ぎ方、様々なカクテルに対応できる様に、しっかり特訓させてましたよ。』


「二人とも、俺がイチイチ口出ししなくても、ちゃんと出来ているんだな!」


『当然ですよ!

経営者としてのスキルを求められているんだから、能力をフルで使ってやっていますよ。』


「工事の方は、どうなっているんだ?」


『後は、店内のクロス貼りと表の看板の設置、それとダクトの外の配管だけで終了します。』


「それでは、3月10日のオープンに間に合うな!」


『大丈夫です。

それから、新聞の折り込みと、コンビニ等に置いているフリーペーパーに、広告とクーポン券を手配しておきました。』


「そこまでやってくれたんだ。

クーポン券は、何をつけたんだい?」


『A紙には、乾杯ドリンクのサービス券を、B紙には、デザートのサービス券を付けました。』


何から何まで、こちらが何も言わなくても段取りしていた。


この二人は、思った以上に大当たりだな!


俺達が音楽活動で、店に来れなかった間に、必要な事は全てやっているんだからなぁ。



 
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