CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
そのまま俺達は、11時過ぎ迄練習していた。
ケント、ジョージ、テジュンの書いてきた曲は、それぞれ自分のカラーを出して、それをKYUの歌声がXYZのサウンドに仕上げていった。
ケントが録音したいから、本堂さんに頼もうよ!って言うのを、全員で反対して片付ける事にした。
この時間から本堂さんに録音頼んだら、明日の昼過ぎになっても帰らさせてくれないのは、火を見るより明らかなんだから。
明日は、午前中に俺達のファッションを特集したいと言って、メンズファッション雑誌の撮影が入っている。
私服を数着持参して欲しいんだって。
面倒な話だよ。
小物やアクセサリーも併せたら、かるくスーツケースがいっぱいになって仕舞うんだから。
それに、俺達はモデルじゃあねぇっつうの!
とりあえず、ソナから貰ったニット帽は持って行かないとして、何が良いか考えなきゃ。
「明日の撮影ってさぁ、皆何を持って行くの!?」
『俺は、バイク乗るから、ライダーファッションと皮系かなぁ!』
「おいらは、着物だじょ!
アッ、それから作務依と麦わら帽子!」
「それは却下!
いくらなんでも、XYZのイメージが壊れてしまう。」
『そうだよな。
去年の夏に、アレンジしてた頃、作務依でスタジオに来たそうだな!?
本堂さんも、ビックリしていたぞ。
《森本君が凄い恰好で現れた》
って言ってたぞ。
……俺は、普通にTシャツにジーパン、それに春用のブルゾンかな!
チャンスは?』
「俺も普段はTシャツにジーパンなんだよな!
後は、スーツかな!」
『KYUは?』
「普段は、韓国で着ていた迷彩の上下です。」
『それも却下!
KYUは、いつも迷彩の上下にコンバットブーツじゃん。
もっとさぁ、お洒落しないの!?』
「だって楽だし、僕あまり服とか興味無いもんで……。」
『じゃあ、これからKYUのマンションに行って、コーディネートしてあげるから。』
「桧山マネージャーが寝ているかも。」
『大丈夫だと思うよ!
あの人、いつも深夜まで起きているから。
それに、KYUのファッションセンス向上の為なら、一緒に考えてくれるよ!』
「分かりました。
それでは、行きましょうか!」
と諦めたKYUは、素直に俺の車に乗り込んだ。