CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『エ~ッ!
チャンス兄ちゃん、結婚!?』
「ち……、ちょっと!
彼女は、まだ高校ニ年生だから、今すぐに結婚する訳じゃ無いんだよ。
って言うか、皆にはナイショにしといてな!」
『ダイジョブだよ!
こう見えて、アタシけっこう口固いんだから!』
「サンキュー。
ところで本堂さん、皆はもう来てますか?」
『白井君(ケント)と森本君(ジョージ)は来てるぜ!
ベースの兄ちゃん……、林君か!
彼はまだ来てない。』
「そうですか。
ちょっと電話してみるか!
テゥルルル…テゥルルル…
もしもし、テジュン!
今どこ!?」
『ワリィワリィ!
ちょっとミリから電話が入ってたから、話し込んでいた。
今マンションに居るから、後5分程でそっちに行く!』
「OK!
じゃあ、中で待ってるから。」
『わかった。』
「本堂さん、今日はどのルーム?」
『2-Aに居るから!』
「じゃあ、また後で。
珠ちゃん、じゃあバイト頑張って!」
『ありがとうございます。
チャンス兄ちゃんも頑張ってね!
今度、ライブのチケットちょうだいね!
友達と行くから。』
「良いよ!
今度は6月に遣るから、チケットはお父さんにでも渡しとくな!」
『ホントに!
ラッキー!
じゃあ、お父さん・チャンス兄ちゃん行ってきま~す!』
「バイバイ!」
『玉枝、気をつけてな!』
大きく手を振りながら、珠ちゃんはバイトの面接に行った。
その後ろ姿を、本堂さんは目を細くして、ずっ~と見つめていた。
ルーム2-Aに入ると、ケントとジョージはイーストバーンのLittle Brown Jugを演奏していた。
ベースが無いから、イマイチボリューム感に欠けるが、ジョージの演奏はなかなかのもんだ。
ケントも、XYZの活動でかなり腕をあげたから、こんな難しいジャズのドラムも出来るようになっていた。
って感心していたら、テジュンがやって来た。
『ゴメンゴメン!
彼女の機嫌が悪くてさぁ、大変だったんだから!』
「どうしたんだい?」
『最近さぁ、メチャクチャ忙しかっただろう!
なかなかデートも出来ないし……、うっかりミリの誕生日プレゼント買うの忘れて……。』
「それは、テジュンが悪いじょ~!」