CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 




「誕生日自体忘れていたのか!?」


『1週間前迄は覚えてたんだけどなぁ。』


「女のコにとってイベント事は大事だからなぁ。」


『ミリは働いているだろ!

なかなかお互いに時間の自由も無いから、余計に不安になるらしい。

どうしたら良い?』


「そんな事簡単だじょ!

一緒に住んでしまえば良いんだよ~ん!

結婚してしまえば?」


『ジョージは、無茶苦茶言うなぁー。

俺は、まだ学生だぜ。

勉強やって、それにXYZの活動もやって、その上家庭も持ったら、時間的にも無理が有るだろ!?』


「テジュンは難しくかんがえすぎだにゃ。

そんな事むりじゃないよ~ん!

ホントに結婚しなくても、例えば同棲するとかは?

とにかく、時間の使い方は今までと変わらないじょ!

ただ、帰宅したら独りでなく、ミリちゃんがお家で待っている。 それだけの事だじょ!」


『そうだけど……』


「俺が思うに、ミリちゃんは、テジュンが誕生日プレゼントを忘れた事を怒ってるんじゃなくて、心配になっているんだと思うよ。」


『心配?』


「だって、テジュンは彼女の事を大事にしているだろ!

その上、ちょっとした事でもミリちゃんの言った事は良く覚えていたテジュンが、誕生日を忘れて仕舞うくらい忙しくて、それをミリちゃんが心配しているんだよ。


いつも完璧なテジュンが、このまま忙しくしていたら、勉強の方にも支障が出てるんじゃないだろうかとか。

体を壊して仕舞うんじゃないだろうかとか、いろんな事考えてしまって、だから怒った振りをしてテジュンに気付かそうとしてるんじゃないの?

彼女は、頭の良い子だから、ワガママを言う彼女を演じて、テジュンに気付かそうとしているとか!?

無理をしないでって。

もっと余裕持ってって。」


『そうかぁ!?

かなりプレゼント忘れた事を、本気で怒ってたぞ。』


「……そっかぁ?」


『前に、誕生日プレゼントに何が欲しいんだって聞いたら、プレゼントなんかより、一緒に居るだけで良いって言ってたのになぁー。』


「その誕生日の日って何してたの?」


『午前中は仕事して、午後からはここで練習だったから、気が付いた時には、日付が変わっていた。』


「言ってくれたら、時間空けたのに!」


『だって……、マジで忘れてたから‥‥‥‥!』




 
< 231 / 300 >

この作品をシェア

pagetop