CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
「それだけじゃ無いんだよ。
オープン当初、新星MUSICの衣装部でレンタルしたステージコスチュームが、彼女達には気に入らなかったみたいで、かなり文句を言ってたらしいんだよ。
こんなの私達の趣味じゃ無いとか、こんな露出の多いのなんて、恥ずかしくて着れないとか、とにかく皆ワガママなんだよ。
でも、中山店長は全然怒らないんだ。
怒らないけど、代わりに嫌なら着なくて良いよ!なんて言ったそうだよ。
そして、ステージ衣装が欲しいなら、自分達が着てみたい衣装を、自分達でデザインしてみたら!って言って、デザイン画を書かしたんだって。
それを、被服専門学校に通っていた自分の友人に見せて、作って貰ったそうだよ。
それも自腹で!」
『自腹ですか…。』
「あぁ!
サイズのデータは、新星MUSICの衣装部にあったから、6人分のコスチュームをプレゼントしたら、彼女達も自分達でデザインしたのが着れて、メチャクチャ喜んでいたよ。」
『そりゃそうですよねぇ。』
「出来上がったステージコスチューム見て、会社の衣装部でレンタルしたのより露出が多かったのには驚いたよ!」
『そんな事があったんですか!』
「まだあるよ。
ある時、これまた中山店長の友人でカメラスタジオで働いている人がいるんだけど、その人に頼んで、彼女達のポスターまで作って貰ったそうだよ。
勿論、これも自腹でな!」
『また自腹ですか!』
「あぁ!
何でも、この6人のユニットで活動しているのは、デビュー迄だから、デビューして皆がバラバラになる前に、記念にって2,000枚作って貰ったんだって。」
『2,000枚も!?』
「そうなんだ。
それを、1人4500円以上食事されたお客様にサインを入れてプレゼントしますってやったら、またまた売り上げが上がったそうだよ。」
『この短期間に、色んな事やって来たんですね。』
「話していたら切りが無いくらい、まだまだ沢山の事をやってるからな。」
『俺も、のんびりしてられないな!
1号店の店長を任されているんだから、もっと頑張らなきゃ、中山店長に追い越されてしまうな。』
「まぁ、アイデアだけじゃダメだから。
自分の特性を生かして、石田店長は石田店長の店造りを頑張って下さい。」
『ハイ、オーナー。
頑張ります。』