CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『叔父さんが‥‥。』
『何でも、死んだ弟の大事な家族を守ってやりたいんだが、俺がマフィアなんて半端な事をやっているから、弟の嫁に嫌われているんだ。
って嘆いてたよ。
でもある日、甥っ子のテギルが頼って来てくれたんだって。
よっぽど嬉しかったんだろうなぁ。
電話の向こうで、泣いちゃてさぁ。
お金でしか守れない不甲斐ない俺だけど、それでも良いんだって言ってたよ。』
『‥‥オジサン…。』
『で、これからどうするんだ!?』
「アボジ(親父)、明日はパーティーとイベントが有るんだよな。
彼も一緒って良いですよね!?」
『別に問題ないよ!』
「と言う訳だ!
明日の昼から、この会社の20周年パーティーと、記念イベントが有るから、出席してくれるよな!?
美味い料理が食べ放題なんだぜ!」
『マジで!?
出る出る!
でも俺、パーティーなんかで着るような服を持って無いし。』
「俺の服を貸してやるよ。
体格も身長も、ほとんど変わらないから、大丈夫でしょ。」
『ありがとう。
よろしく頼むよ!』
「で、テギルは何処に住んでるの!?」
『この近くに、俺の実家と店が在るんだ。
車で15分くらいのところで、大通り沿いなんだ。』
「じゃあ、俺のハラボジの家の近くだな。
一旦そっちに寄って服を選ぼうか!
もう8時過ぎちゃったけど、時間は大丈夫か!?」
『問題ないよ!』
「そんじゃまぁ、テギル、車出してくれるか!?」
『もしかして、俺をタクシー代わりに使ってないか!?』
「まぁ、堅い事言いっこ無し!
蚕室洞(チャムシルドン)を東に進んで、漢江の向こう側に渡る橋が在るから。
そこを南に折れて、川沿いを西に下って直ぐに、バカデカイ家が在るから。」
『知っているよ!
何度も通った事が有るんだけど、いつも見る度に驚かされるよ!
凄いよなぁ。
ハラボジって何してる人!?』
「インチキ占い師。」
と、俺はキッパリと言い張った。
『インチキ占い師!?
こんなに儲かっているって事は、案外インチキじゃ無いんじゃないか。』
「じゃあ、ボッタクリ占い師ってとこかな!」
『無茶苦茶言うなぁ。
着いたよ。』
「今日、泊まっていくかい!?」
『良いのか!?』
「問題ないよ!」