CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
減らず口を叩きながら、俺とテギルは昔から使っている、俺の為にハラボジが用意してくれてる部屋に向かった。
クローゼットを開けて、パーティーに合いそうなスーツを探した。
「テギル、この黒に銀の細いラインの入ってるスーツ、どうかな?」
『メチャクチャ高そうなスーツだな!』
「まぁ、気にしなくて良いから、ちょっと併せてみたら!?」
『オゥ!』
と言いながら、ズボンを履いて、上着に袖を通してみた。
「ピッタリだな!
って事は、俺と余り体型が変わらないって事だな!
じゃあ、このカッターシャツにベルト、それから黒のソックスも。
もちろん新品だから。
後は、ハンカチだな!
このハンカチ使ってくれ。」
『なんだ!?
このハンカチ、隅の方にXYZって刺繍してあるけど、これって何なの?』
「あぁ、それか!
俺さ、日本でバンドとしてメジャーデビューしてんだけど、俺等のバンド名がXYZって言うんだ。」
『じゃあ、芸能人って事!?』
「そういう事だな!」
『恐ろしい芸能人だな!
韓国マフィアにケンカ売るなんて!』
「たまたまなんだよ。
ちょっと仁川空港で通関のスタッフの態度がメチャクチャ横柄でな!
だから、イライラしてたんだ。
まぁ、だからテギルにも噛みついた訳なんだけど。」
『おかげで、俺はマフィアと切れたし、明日は美味い料理にもありつける。』
「だよな!」
『チャンス、テギルちゃん、ゴハンよ!』
「下にいこっか!」
『オゥ!』
1階に降りて、リビングに行くと、アボジも帰宅していた。
俺達は、挨拶して席に着いた。
「チャンス、明日の記念イベントとパーティーは、11時から始まるからな。
だから、9時には新星MUSIC本社に来るんだぞ!」
「わかりました。
記念イベントって、一体何をするんですか?」
「それは、明日のお楽しみ。
それからテギル君、詳しい話は、だいたい伯父さんから聞いたから。
食堂は、7月から再スタートさせれるように、手配しておいたから。
これも何かの縁だから、俺も協力するからな!
当面の運転資金は、俺が貸してあげるから。
店を再スタートさせるに当たって、店内の内装もした方が良いだろう。
これは、俺からのプレゼントとして、内装費を出そう。」