CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『どうして、そこまでして頂けるんですか?』
「永彰(ヨンチャン)とは同級生だって言ったじゃないか!
ヨンチャンの弟で、テギル君の親父さんの永男(ヨンナム)とも幼なじみだよ!
ヨンナムは、料理が得意だったから、一流ホテルのシェフにでも成るんじゃないかと思っていたんだがなぁ。
若い頃、俺達は金が無くてさぁ。
安い鳥の足を買ってきて、ヨンナムが甘辛くタッバルを作ってくれたのを、良く3人で安いソジュ(焼酎)を飲みながら食ったもんだよ。」
『だからって、内装費を出してくれるのとは、話が別ですよ!
運転資金だって、貸してくれても、返せるかどうかも分からないし…。』
「ヨンチャンが言ってたぞ!
テギルの作る料理は、不思議と暖かい気持ちにさせる。
頑張れば、食堂は大繁盛間違いないってな!
だから、俺はテギル君に投資するんだ。
出資者に損をさせない為にも、頑張って良い店にしてくれ。
お金なんて、返せる様になってから返してくれれば良いんだから。」
『‥‥‥‥。』
「テギル、泣いてんのか!?」
『ゥ……、ダ…だって、こんなに親切にされて、チャンスにもチャンスパパにも、それから伯父さんにも‥ウッ。』
「泣くなよ。
これからまた、一生懸命に頑張って行けば良いだけの話なんだから。」
『あぁ…!
チャンスパパ、有り難うございます。』
「ケンチャナヨ。
(ドウモ。)
それでさぁ、テギル君にものは相談なんだけど、もっと店を大きくしてさ、ステージも作って、ショーを観ながら食事の出来るレストランも遣ってみないかい?」
「アボジ(親父)!
俺の真似するの!?」
『チャンスの真似って!?』
「実はさぁ、こいつは日本でそういう店を3店舗も持ってるんだよ。
3店舗併せたら、年間の純利益が30億ウォンくらいにはなると思うよ。」
『30億ウォン!?
チャンス、お前メチャクチャ金持ちじゃんか!』
「やって見たら、たまたま大当たりしただけだよ。」
『スゲー!』
「だろう!
チャンス、パパにその店譲る気無いか?」
「無いよ。
テギル、凄い話してるようだが、俺のアボジは芸能プロダクションの他にも、音楽スタジオやライブハウス、カラオケボックスからクラブ、それにインターネットでの音楽配信もやってるから。」