CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『そうなんですよねぇ。
なんか、声にも幅が感じられるし、バンドが、しっかりパクユの良いところをわかって演奏しているんですよ。』
「こりゃ、明日は録音出来そうだな!」
『じゃあ、今日はこの辺でお開きにしましょうか!』
「OK!
今日はここまで。
明日は何時に来れるんだ。」
『おいら、明日は午前中までで終わりだよ~ん!』
「俺は、3コマまで有るから、3時過ぎくらいだな!」
『ケントと俺は、同じ講義取ってるから、同じく3コマまで有る。チャンスと同じ3時過ぎだな!』
「じゃあ、3時半にスタジオ5集合でよろしく。
今日は皆、お疲れちゃ~ん!」
「親父、お笑い番組観すぎ!」
『社長、飯食べに行きませんか?』
「そうだな。腹減ったな!
お~い、お前等!
これから飯食いに行くけど、一緒に行くか!?」
その言葉を待ってましたとばかりに全員が、
「『やった~!』」
と大ハシャギ。
「じゃあ、日本一美味しい焼肉屋に連れて行ってやるよ。
チャンス、お前の車で後ろから付いて来なさい。」
「もしかして、仁寺洞(インサドン)に行くの?」
「そうだよ。
あそこなら個室も有るし、メニューも豊富でパクユも喜ぶしな!」
『知り合いの店かナンカなの?』
『いや、チャンスの母ちゃんの実家なんだ。
俺も妹とチャンスの3人で1回だけ行った事有るけど、メチャクチャ美味いぜ。』
と、心を焼肉に奪われたユー君と他3名は、ハシャギまくりである。
店内は、かなりの賑わいだが、事前にオモニ(母さん)に連絡入れておいてくれたので、すぐに8人用の部屋に通された。
和牛のフィレや特上ロースに特選カルビ、ワインサムギョプサル(豚の三枚バラのワイン漬け)、骨付きカルビ、ソルロン湯、テンジャンチゲ、石焼きピビンパ、ピビン冷麺から海鮮チヂミと、とにかく沢山食った。
親父はって言うと、本堂さんや天道君が居るので、運転しなくて良いからと、マッコルリをガンガンいっている。
俺は、とにかく肉を食いながらも、久しぶりに親父のスタッフの天道君と話をした。
「天道君、最近バンドやっているんですか?」
『いゃ、最近やってないんだよなぁ。
ギターが進学して、福岡の工業大学に行っちゃったから。
なかなか彼のギターの代わりに成れるようなテク持った奴居ないじゃん!?』